「茶話会」イベント御礼〜日本のヒップホップ離れ小島、フェスのジェンダーバランスについてなど
先日、無事に「ヒップホップ茶話会」のトークイベントが終了しました!改めまして、ご来場くださった皆様、オンラインで視聴してくださった皆様、何より参加してくださったvalkneeちゃん、本当にありがとうございました!
9/5までアーカイブの視聴が可能です(要チケット購入)。
イベントの中でも話したのですが、現在の日本のヒップホップ・シーンというかヒップホップ村というかヒップホップ島って、本当に細かく分かれていて、それぞれどんな風に見えているのだろうか、とちょいちょい考えるんですよね。アーティスト同士も自分の隣に誰の名前が並ぶのかをすごく気にしているように見えるし。あと、たまにリスナーの方からいただく質問で「XXとYYは仲がいいんですか?」的な内容のものがあります。あと、びっくりするくらい、熱心なリスナーの方はアーティストのSNS上の動きを見ていますよね。「XXがYYのインスタ投稿にいいねした!」とか。それくらい、アーティストたちがどんな交友関係のもと活動しているのか気になるんだな〜と驚くことも多いです。
楽屋で話していたんだけど、以前、valkneeちゃんが知人の方にざっくり現在のヒップホップ・シーンの分布図みたいなものを作ったらすごく喜ばれたこともあるらしい。イベント内では、私が以前、とあるラッパーから「渋谷HARLEMの深夜帯のイベントに出るのが夢」と聞いたことについてを話しました。そして、業界内にいる私が持っている"特権"についてなど…。
で、日本のヒップホップ業界は万人にとって居心地のいい「村」でなくてよくて、それぞれが離れている小島の状態(瀬戸内海的な)でも全然問題ないと思うのですが、離れ小島状態を突き詰めていくとサステナブルな業界にはならないよな〜とも感じます。現時点でこれだけ大きくなっているだけに、余計にそう感じます。風通しの良さとか、次世代への継承など、もうちょっと大人が気を配る必要があるんじゃないかと感じることも多い。ゆうて、私が一人で悶々としているだけで、ふと外を見たらのびのびと活躍している若手もたくさんいるし、このままフロウに任せていけばいいのかなと感じることもある。難しいね。歪だなーと感じることも、めっちゃたくさんあるっす。
そして、valkneeちゃんの話を聞いて感動したのが、7月に彼女が主催した音楽イベント「CRASH SUMMER」ではジェンダーバランスに気をつけた、という点。すすすごすぎ〜!正直、フェスとジェンダーバランスについて、私もちゃんと考えるようになったのは去年からなんです。きっかけとなったのは、私がモデレーターを務めた「Billboard Women In Music」内の「フェスにおけるジェンダーバランスと今後のあり方」と題したトークセッションでした。クリエイティブマンプロダクションとスペースシャワーネットワークの方がそれぞれパネリストとして参加してくださったのですが、セッション内で話した時点では、ジェンダーバランスを是正することに対しての積極的なアクションはあまり見られないと感じました。驚いたのが、逆に「女性のソロ・アーティストが音楽フェスのトリを務めることに対して消極的な動きを見せるレーベルや事務所もいる」という意見。一部の意見だと思うけど…。トークセッションの中でも「フェスのブッキングにおいて、ジェンダーのことを気にしたことがない」ともおっしゃっていて、やはり無意識的に、そして従来的なブッキングだとやはり男性アーティストが多くなってしまうものなのかな〜と感じました。なので、意識して変化を積み重ねていくことが大事なのではと思います。音楽フェスのジェンダーバランスについてはやはり欧米が熱心に取り組んでいて、BOOK MORE WOMANのデータにるとニューヨークで開催されているGOV BALL ことGovernors Ball Music Festivalにおいては2018年は女性/ノンバイナリーのミュージシャンの出演率が全体の27.7%だったのが、2023年には45.8%に伸びています。
しかしながら、ヒップホップにおいては男性中心的な業界なので、その割合はさらに低くなる。アーティストもそうだけど、業界の中で働いているのもやはり男性が多いと感じます(メディア、ライブハウス、クラブ、レーベルなどなど)。とはいえ、今の日本を見れば、大きな規模でファンやコミュニティを牽引しているAwichや、「Forbs」の表紙を飾ったLANAという存在もいるし、「茶話会」トークイベントと同じ日には渋谷のライブハウス、WWW XにてLizaが声をあげ、そこに7とsheidAが出演する『Liza presents Slytic』というイベントも開催されていた。誰とは言わないけど、ライブDJやマネジメントを女性のスタッフが固めている女性ラッパーもいる。そうやって「女性(ノンバイナリーやトランス女性も含む)もいますよ〜」という声が大きくなればいいなと思いました。そこに来て、valkneeちゃんが「ジェンダーバランスに気をつけた」と言っていたことにすごく勇気をもらいました。
この辺りのジェンダーバランスについては、「虎に翼」をきっかけに歴代の朝ドラ主題歌のジェンダーバランスをエクセルにまとめたので、「茶話会」でも話したいと思っています。
それではまた、次回の配信で!
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